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エルゴンヘアケアコラムでは美しい髪を保つためのヒントを様々な視点で解説してまいりましたが今回は2回に分けて「髪と常在菌」とについてフォーカスしたいと思います。
「腸内細菌」という私たちの腸の中に住む菌ならご存じだと思います。しかし髪と菌については一見関連が無さそうに見えますよね。実は腸以外でも私たちのからだに住む菌は髪や頭皮にとって欠かせない存在だったのです。抜け毛やフケ・気になるニオイの原因ともなる菌の活動についてミクロの世界を分かりやすく解説していきたいと思います。
これらの髪のトラブルに心当たりがある方は、髪や頭皮のお悩み別におすすめのヘアケアを教えてくれる髪診断もおすすめです。
私たちのからだには1000種類以上、数百兆個もの微生物が住んでいます。これを常在菌と呼んでいます。ヒトのからだの細胞は約60兆個。つまり細胞の数よりもはるかに多い菌と共に生活しているのです。しかも未だに全ての菌が解明されておらず、新しい菌が発見され続けているとは驚きです。
常在菌の9割は腸の中にいて、腸内細菌(腸内フローラ)と呼ばれています。腸内にいる菌の重さは体重60kgの人でなんと1~2kgにもなります。*1腸に住む菌は腸内の環境を保ちながら絶えず増殖を繰り返し、数日で寿命を迎えると糞便と一緒に排泄されます。
ひと言で常在菌といっても実は3種に分かれます。善玉菌はからだにとって良い働きをしてくれる菌のこと。そしてトラブルを起こす原因になる悪玉菌。さらに、この善玉菌と悪玉菌のバランスに左右されて良くも悪くもなる菌、日和見(ひよりみ)菌があります。 腸内フローラを例にすると、一般的にはこれらの3種の菌が、日和見菌7割、善玉菌2割、悪玉菌1割の割合で複雑にバランスを取りながらお互いに密接な関係を持っています。一番多いのは日和見菌。次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数となります。年齢や健康状態によって菌の数が変わりますが、ひとそれぞれが持つ常在菌の種類は一生涯変わらないことも報告されています。
悪玉菌はたんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で増え、これらの腸内細菌は肥満や糖尿病、大腸がん、動脈硬化症などの疾患と密接な関わりがあると知られています。その人の菌を見れば健康状態が分かるという訳なのです。*2
善玉菌と悪玉菌のバランスが取れている状態では、便秘もなく肌の調子や健康状態も良好。一方で不規則な生活やアンバランスな食事を続けていると悪玉菌が増え、腸内フローラが悪化することで、排便に不調が出たり体調が悪くなったりします。 この3つの菌のバランスに私たちの健康は大きな影響を受けるため、腸は健康の要であると言われるのも納得ですよね。
赤ちゃんはお母さんからもらった免疫力に守られている。と言われますが、それはいつどこでもらうのでしょうか?
その答えはお産の時です。赤ちゃんが育つ子宮は無菌の状態で、外の細菌やウイルスに触れることなく守られながら育ちます。そして出産の時にお母さんの産道を通り外に出るときに初めてお母さんの乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含む様々な種類の常在菌のシャワーを浴びることで、赤ちゃんのからだに常在菌として定着し感染症から守られるようになります。*3
帝王切開で生まれた赤ちゃんはこのお母さんの常在菌を受け取ることができないため、免疫関連疾患の割合が高いとされていましたが、近年ではお母さんの菌を赤ちゃんに塗ることで帝王切開児の喘息やアレルギーを予防しようという試みが海外では行われています。*4
コロナ禍の生活では一日に何度もアルコール消毒をしたり手洗いをするのが習慣として定着しました。手荒れや肌荒れがひどくなったということはありませんか?
手や指についた細菌やウイルスを洗い流すことで、口に入ることを予防することは非常に大切です。しかしあまりにも神経質になって必要以上に洗うことで、肌の表面に皮膚を保護する油分まで一緒に洗い流され、油分の無い状態の皮膚に細菌が付着することで落としにくくなったり、肌の乾燥が進み炎症を引き起こしやすくなります。
日常生活においての手洗いは皮膚の表面についた汚れや細菌・ウイルスを落とすこと。調理師や医師などが行う手洗いとは別です。医師が行う手洗いでも常在菌を完璧に取りきることは難しく、少しの常在菌でも増殖を繰り返し元に戻るチカラがあるからです。しかし頻繁に手洗いをしたり、消毒液などで常在菌の回復を阻害させてしまうことに問題があります。
医学博士の藤田 紘一郎氏によると、常在菌は皮膚からでる脂肪をエサにして、弱酸性の皮脂膜をつくることでバリア機能を持たせてくれています。石けんで手を洗うことで、皮膚の常在菌の約90%が洗い流されるそうです。残りの10%の常在菌は再び増殖して元の状態になるまで12時間もかかるため、一日に何度も必要以上に手を洗ったり、アルコール消毒をすることで常在菌が元の状態に戻る余裕がなくなり、皮膚のバリア機能まで低下してしまいます。バリア機能が低下した皮膚は、外からの病原菌が皮膚に残りやすくなることで手や指から口に病原菌が運ばれやすくなります。*5
私たちの皮膚に住む常在菌は、細菌や病原菌などから感染しないよう防ぐ働きをしてくれていることを忘れないようにしましょう。次回は頭皮における常在菌の役割と健康的な頭皮環境について解説いたします。
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この記事の内容(もくじ)
エルゴンヘアケアコラムでは美しい髪を保つためのヒントを様々な視点で解説してまいりましたが今回は2回に分けて「髪と常在菌」とについてフォーカスしたいと思います。
「腸内細菌」という私たちの腸の中に住む菌ならご存じだと思います。しかし髪と菌については一見関連が無さそうに見えますよね。実は腸以外でも私たちのからだに住む菌は髪や頭皮にとって欠かせない存在だったのです。抜け毛やフケ・気になるニオイの原因ともなる菌の活動についてミクロの世界を分かりやすく解説していきたいと思います。
これらの髪のトラブルに心当たりがある方は、髪や頭皮のお悩み別におすすめのヘアケアを教えてくれる髪診断もおすすめです。
常在菌とは?
私たちのからだには1000種類以上、数百兆個もの微生物が住んでいます。これを常在菌と呼んでいます。ヒトのからだの細胞は約60兆個。つまり細胞の数よりもはるかに多い菌と共に生活しているのです。しかも未だに全ての菌が解明されておらず、新しい菌が発見され続けているとは驚きです。
常在菌の9割は腸の中にいて、腸内細菌(腸内フローラ)と呼ばれています。腸内にいる菌の重さは体重60kgの人でなんと1~2kgにもなります。*1腸に住む菌は腸内の環境を保ちながら絶えず増殖を繰り返し、数日で寿命を迎えると糞便と一緒に排泄されます。
*1 長崎大学感染症ニュースより良い菌も悪い菌も含む常在菌
ひと言で常在菌といっても実は3種に分かれます。善玉菌はからだにとって良い働きをしてくれる菌のこと。そしてトラブルを起こす原因になる悪玉菌。さらに、この善玉菌と悪玉菌のバランスに左右されて良くも悪くもなる菌、日和見(ひよりみ)菌があります。 腸内フローラを例にすると、一般的にはこれらの3種の菌が、日和見菌7割、善玉菌2割、悪玉菌1割の割合で複雑にバランスを取りながらお互いに密接な関係を持っています。一番多いのは日和見菌。次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数となります。年齢や健康状態によって菌の数が変わりますが、ひとそれぞれが持つ常在菌の種類は一生涯変わらないことも報告されています。
悪玉菌はたんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で増え、これらの腸内細菌は肥満や糖尿病、大腸がん、動脈硬化症などの疾患と密接な関わりがあると知られています。その人の菌を見れば健康状態が分かるという訳なのです。*2
善玉菌と悪玉菌のバランスが取れている状態では、便秘もなく肌の調子や健康状態も良好。一方で不規則な生活やアンバランスな食事を続けていると悪玉菌が増え、腸内フローラが悪化することで、排便に不調が出たり体調が悪くなったりします。 この3つの菌のバランスに私たちの健康は大きな影響を受けるため、腸は健康の要であると言われるのも納得ですよね。
*2 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネットお母さんからの最初の贈り物は常在菌だった
赤ちゃんはお母さんからもらった免疫力に守られている。と言われますが、それはいつどこでもらうのでしょうか?
その答えはお産の時です。赤ちゃんが育つ子宮は無菌の状態で、外の細菌やウイルスに触れることなく守られながら育ちます。そして出産の時にお母さんの産道を通り外に出るときに初めてお母さんの乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含む様々な種類の常在菌のシャワーを浴びることで、赤ちゃんのからだに常在菌として定着し感染症から守られるようになります。*3
帝王切開で生まれた赤ちゃんはこのお母さんの常在菌を受け取ることができないため、免疫関連疾患の割合が高いとされていましたが、近年ではお母さんの菌を赤ちゃんに塗ることで帝王切開児の喘息やアレルギーを予防しようという試みが海外では行われています。*4
*3 医学専門ジャーナル・書籍の電子配信サービス 助産雑誌 68巻4号 (2014年4月)*4 赤ちゃんにお母さんの腟内細菌叢を塗り付ける「Vaginal Seeding」
【季節の変わり目に抜け毛が多いと感じませんか?
その理由と食い止める方法】を読む
常在菌は皮膚の防御服
コロナ禍の生活では一日に何度もアルコール消毒をしたり手洗いをするのが習慣として定着しました。手荒れや肌荒れがひどくなったということはありませんか?
手や指についた細菌やウイルスを洗い流すことで、口に入ることを予防することは非常に大切です。しかしあまりにも神経質になって必要以上に洗うことで、肌の表面に皮膚を保護する油分まで一緒に洗い流され、油分の無い状態の皮膚に細菌が付着することで落としにくくなったり、肌の乾燥が進み炎症を引き起こしやすくなります。
日常生活においての手洗いは皮膚の表面についた汚れや細菌・ウイルスを落とすこと。調理師や医師などが行う手洗いとは別です。医師が行う手洗いでも常在菌を完璧に取りきることは難しく、少しの常在菌でも増殖を繰り返し元に戻るチカラがあるからです。しかし頻繁に手洗いをしたり、消毒液などで常在菌の回復を阻害させてしまうことに問題があります。
洗いすぎは手を汚くする?
医学博士の藤田 紘一郎氏によると、常在菌は皮膚からでる脂肪をエサにして、弱酸性の皮脂膜をつくることでバリア機能を持たせてくれています。石けんで手を洗うことで、皮膚の常在菌の約90%が洗い流されるそうです。残りの10%の常在菌は再び増殖して元の状態になるまで12時間もかかるため、一日に何度も必要以上に手を洗ったり、アルコール消毒をすることで常在菌が元の状態に戻る余裕がなくなり、皮膚のバリア機能まで低下してしまいます。バリア機能が低下した皮膚は、外からの病原菌が皮膚に残りやすくなることで手や指から口に病原菌が運ばれやすくなります。*5
*5 PRESIDENT Online "手を洗いすぎる"と風邪を引きやすくなる 医師・医学博士 藤田 紘一郎私たちの皮膚に住む常在菌は、細菌や病原菌などから感染しないよう防ぐ働きをしてくれていることを忘れないようにしましょう。次回は頭皮における常在菌の役割と健康的な頭皮環境について解説いたします。
【「美髪のカギは頭皮や肌の常在菌②
スキャルプフローラと頭皮の善玉菌】を読む
この記事のまとめ
【髪のお悩み解決!無料髪診断であなたにぴったりのヘアケアを見つけよう】を読む